葉酸普及研究会

葉酸Q&A

Q1.葉酸はいつ発見されたのですか?どんな食品に含まれていますか?
 葉酸は1940年代にホウレン草から抽出され、発見されたビタミンB群の1つで(ビタミンB9)、水溶性です。赤ちゃんが成長するのに必須のビタミンで、食品または葉酸サプリメントとして摂取できます。葉酸を大量に含む食品は、緑黄色野菜、果物、レバーなどです。表は食品100g中の葉酸含有量を示しています。
食品中の葉酸
Q2.葉酸の生体利用効率せいたいりようこうりつは?
 自然食品中の葉酸(プテロイルポリグルタミン酸と呼びます)は、消化吸収されて、全体の50%が有効に利用されます。一方、化学合成された葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)は全体の85%が活用され、生体利用効率が高いことが特徴です。つわり(妊娠悪阻)で食事が摂れない時には、サプリメントで葉酸を補充することが特に大切です。
Q3.栄養バランスに留意して食事を摂っているので、葉酸サプリメントは内服したくない。大丈夫でしょうか?
 厚生労働省の発表によれば、妊婦は食事から葉酸(プテロイルポリグルタミン酸)を1日480マイクログラム摂取することを推奨しています。しかしこの摂取量を満たしている妊婦は、全体の13%に過ぎません。したがって貴女は、葉酸サプリメントを摂取して補充することがとても大切です。特に妊娠前期に発生するつわり(妊娠悪阻)にかかっている妊婦は、食事を充分に摂れないので、葉酸サプリメントの摂取が非常に重要です。
Q4.神経管閉鎖障害を予防するにはどうすればよいですか?
  1. 神経管閉鎖障害の原因は多因子が関連しています。まず葉酸サプリメントを摂取すると、神経管閉鎖障害の発症リスクを40-80%低くできます。
  2. 健康な一般女性は、妊娠前4週から妊娠12週まで、葉酸サプリメントを1日400マイクログラム(0.4mg)摂取してください。
  3. ハイリスク群の女性:過去に神経管閉鎖障害の赤ちゃんを妊娠した女性と3親等内に二分脊椎の患者がいる女性は、主治医の処方箋を持って葉酸製剤(商品名:フォリアミン)を購入し、1日1錠(5mg)内服してください。
  4. 抗てんかん薬を内服中の女性もハイリスク群に属します。妊娠前に主治医と相談してください。可能ならば内服薬を減量して、葉酸サプリメントを必ず摂取してください。
  5. 妊娠前期にはサウナ風呂に入らないでください。またインフルエンザや扁桃腺炎にかかって高熱を出さないよう注意してください。女性の喫煙、肥満、(未治療の)糖尿病などは、神経管閉鎖障害のリスク因子です。
  6. 葉酸サプリメント作戦への参加:友人や親族の結婚式に招かれた場合には、葉酸サプリメントを花嫁にプレゼントしましょう。そして妊娠を計画する場合には、葉酸サプリメントを前もって摂取するよう助言しましょう。写真は米国の友人(Godfrey Oakley, Jr. MD.)が撮影したものです。
Q5.海外における葉酸サプリメントの摂取状況はどうなっていますか?日本の現状は?
 米国がこの分野で先頭を走っています。1990年代に、妊娠を計画する女性は葉酸サプリメントを1日0.4mg摂取するよう、また神経管閉鎖障害の妊娠既往歴を持つ女性は、葉酸製剤を1日4mg内服するよう推奨しました。1998年以降は主要な穀類100gに、葉酸を140マイクログラム添加するよう法律で規定しました。
 食品強化推進協議会(FFI)の報告によれば、2019年現在全世界の97ヵ国でビタミンとミネラルを、小麦粉、トウモロコシ粉、コメなどに添加する食糧強化政策が実施されています。葉酸を添加しているのは、このうち74ヵ国です。この結果、神経管閉鎖障害の発生率は、26%から50%低下したと報告されています。
 本邦においては、食品への葉酸添加は義務化されていません。しかし幾つかの食品会社が自発的にパン、シリアル、乳製品、ジュース、お菓子、キャンディーバーなどに葉酸添加をしています(スーパーマーケットで探してみてください)。
Q6.妊娠前・妊娠中に幾つかの薬剤を内服しました。薬剤の副作用が心配です。相談場所を教えてください。
「国立成育医療研究センター(東京都世田谷区大蔵2-10-1、電話03-3416-0181)」で相談することが出来ます。まず「妊娠と薬情報センター・問診表(https://www.ncchd.go.jp/kusuri/process/monsin.pdf)」のPDFを印刷してください。その後、詳細な情報は「妊娠と薬情報センター(https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html)(電話番号:03-5494-7845)」で入手出来ます。
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