葉酸普及研究会

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葉酸について

葉酸認知率とサプリメント内服率の変化

2002年から毎年継続して妊婦のライフスタイルについて調査・研究をしています。
全国の産婦人科医250名の協力をいただきました。

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妊婦の葉酸認知率(葉酸が赤ちゃんの発育に大切な役割を果たすことを知っている)と葉酸サプリメント内服率について調査しました。調査対象の妊婦は10,978名です。

図1が示すように、2002年のデータはそれぞれ15%と9%と低率ですが、徐々に上昇して2011年には各々44%と61%へ増加しました。葉酸サプリメント内服率を90%へ増加させることを目標にしています。

図1

(図1)

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一般国民の葉酸認知率:葉酸認知率を女子短大生、小牧市市民、妊婦、二分脊椎患者、看護師、薬剤師、栄養士を対象として、2002年と2007年に調査しました(図2)。

2002年の短大生、小牧市民、妊婦、看護師はいずれも10%前後と低率です。一方、二分脊椎患者、薬剤師、栄養士は40%以上と高い割合です。5年後には妊婦と看護師の認知率が有意に上昇しましたが、結婚適齢期・妊娠可能期にある短大生には、大きな変化を認めません。若い世代への情報提供が不完全であることを強く示唆しています。

図2

(図2)

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妊婦が食事から摂取する葉酸(食事性葉酸摂取量)は、食事記録票から測定しました。対象妊婦は982名で、2003年から2011年までです。

図3が示すように食事からの葉酸摂取量は1日当たり300-360マイクログラムであり、厚生労働省の推奨量(480マイクログラム)には約150マイクログラムも不足しています。
図4は妊娠時期によって、摂取量がどれほど相違するか示しています。妊娠前期の平均値は284マイクログラム、中期が347マイクログラム、後期が333マイクログラムです。

妊娠前期は葉酸を最も大量に必要とする大切な時期ですが、最も低い値になっており、残念です。この理由はつわり(妊娠悪阻)が関連しているかもしれません。つわりの場合には、葉酸サプリメントで葉酸を充分に補充することがとても大切です。

図3

(図3)

図4

(図4)

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妊婦のライフスタイルを2007年と2011年に調査しましたが、この4年間に大きな変化は生じていません(図5)。

計画的に妊娠した方は65%で、このため70%の妊婦が6週以内に妊娠を確認していました。栄養バランスに留意した妊婦は61%、禁煙・禁酒をしていた妊婦は95%以上の高率でした。

全体の70%が計画的に妊娠しているので、この70%の女性が妊娠前から葉酸に関する知識を持っていれば、葉酸サプリメントを適切に内服し、二分脊椎の発生頻度はもっと低くできる可能性があります。

図5

(図5)

5

葉酸サプリメントを内服すると、血中濃度はどのように変化すのでしょう(図6)。80名の妊婦を対象として、葉酸サプリメント内服と栄養バランスに留意した食事摂取の影響を調べました。

A群は既に葉酸サプリメントを内服していた28名の妊婦。B群とC群は、葉酸サプリメントを内服していない妊婦で各々31名と21名でした。A群とB群の妊婦には、葉酸サプリメントを5週間1日400マイクログラム内服させました。C群の妊婦には栄養バランスに留意した食事を、5週間摂取するよう指導しました。介入前の血中葉酸濃度はそれぞれ15.5ng/ml、6.5ng/ml、5.6ng/mlでした。介入後の血中濃度は各々18.3ng/ml、14.2ng/ml、5.5ng/mlへ変化していました。この変化の内、B群の数値上昇だけが、統計的に有意でした(P<0.0001)。妊婦の望ましい血清濃度は12.5ng以上ですので、B群の妊婦の血清濃度が正常範囲内へ上昇したことが分かります。A群の値は介入前から正常範囲内に在ります。一方C群の血清濃度は、正常レベル(12.5ng/ml)に到達していません。即ち、食事内容に留意して食事を摂るようを説明・指導しても、血清濃度を上昇させることは非常に困難であることを示唆しています。

図6

(図6)

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妊婦の食事記録票分析

2000年に、厚生労働省は妊婦のみでなく妊娠を計画している女性、又は、妊娠の可能性が有る女性は、栄養バランスに留意した食事を摂取し、葉酸サプリメントを内服するよう情報提供しました。
妊婦が記載した食事記録票を分析し、妊婦が食事からどれほどの葉酸を摂取しているか、また、摂取量に地域差があるのか、葉酸サプリメント内服率に変化があるのか、検討したので報告します。

対象と調査結果

  • 妊婦の食事性葉酸摂取量の検討
  • 全国8地域毎の食事性葉酸摂取量の検討
  • 葉酸サプリメント内服率の変化

2008年から2010年にかけて回収した471名の食事性葉酸摂取量を、8つの地区に分けて比較しました。(図7)
最大値は中部地区の346µg/日であり、最小値は北海道地区の296µg/日でした。
しかしKruskal-Wallis testで地域差を検討したところ、統計的有意差を認めませんでした。

図7

(図7)

過去8年間における912名の妊婦の葉酸摂取量を、2003年から4年間の前半群と、2007年から4年間の後半群に分けて比較検討しました。前半群は赤色、後半群は青色で示しています。(図8)
葉酸摂取量はいずれの妊娠期においても減少傾向を示し、なかでも妊娠前期の食事性葉酸量は1日306㎍から282㎍へ有意に減少しています。(p=0.0276)

図8

(図8)

一方、葉酸サプリメント内服率は、いずれの妊娠時期においても、後半群の値がすべて有意に上昇しています。(図9)
妊娠前期の内服率は、22.7%から59.0%へ有意に増加しています。(p<0.0001)。

図9

(図9)

要約

  1. 妊婦の食事性葉酸摂取量に、全国8地域による有意差はなかった。
  2. 葉酸を最も必要とする妊娠前期の妊婦が食事から摂取する葉酸は、妊娠中期、妊娠後期のそれよりも低値であった。
  3.  妊婦の葉酸サプリメントの内服率は徐々に上昇している。しかし図1の内服率は、アンケート調査に協力的な妊婦のデータであり、バイアスのかかったデータである。実際の内服率は10-20%である。

厚生労働省は2000年に葉酸サプリメントの内服を推奨したが、この趣旨は徐々に浸透しつつある。今後は二分脊椎の赤ちゃんの発生率が、確実に低下することを期待したいと思います。

 

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