葉酸普及研究会

葉酸について

1.葉酸とその役割

赤ちゃんのビタミン
 葉酸は赤ちゃんの順調な発育と、神経管閉鎖障害の防止にとても大切です。
 葉酸は水溶性のビタミンB群の1つです。細胞の分裂と増殖、組織と臓器の形成、巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)・胎盤早期剥離(たいばんそうきはくり)・流産・神経管閉鎖障害の防止などの働きをしています。胎児が大きく成長する時には、特にその需要が高まることから「赤ちゃんのビタミン」と呼ばれます。
葉酸の生体利用効率、ハイリスク群の女性
 自然食品中の葉酸(これをプテロイルポリグルタミン酸と呼びます)は、消化吸収されて、全体の50%が利用されます。一方、化学合成された葉酸サプリメント(これをプテロイルモノグルタミン酸と呼びます)の生体利用効率は、85%と高率です。厚生労働省は2000年に神経管閉鎖障害を予防するために、葉酸サプリメンを1日400マイクログラム(=0.4mg)内服するよう推奨しました。2015年には国民の健康増進と生活習慣病予防のため、妊婦は食事から葉酸480マイクログラムを摂取するよう推奨しました(日本人の食事摂取基準、2015年版)。
 過去に神経管閉鎖障害の赤ちゃんを妊娠した女性と、3親等内に神経管閉鎖障害の患者がいる女性は、ハイリスク群の女性です(神経管閉鎖障害の赤ちゃんを再度妊娠する可能性が高い)。主治医から処方箋を貰い、葉酸製剤(商品名:フォリアミン)を購入し、1日1錠(5mg)内服してください。抗てんかん薬を内服中の女性もハイリスク群に属すので、主治医と相談して(可能であれば)処方内容を変更し、葉酸サプリメントを摂取してください。
葉酸サプリメントの食品添加
 化学合成された葉酸が、幾つかの食品、飲料水、菓子などに添加されています。店舗等で確認してください (例:シリアル、ビスケット、スナック菓子、ジュース、ミルク、葉酸添加米など)。
葉酸サプリメントの安全性
 葉酸の副作用として最も心配な点はガンの発生に関するものです。2007年にColeらが葉酸サプリメント1日1mgを3年以上にわたり投与しました(JAMA 2007)。その結果、ごく一部の患者でポリープの悪性化を来すかもしれないと報告しました。しかしその後のメタアナリシス(論文の発表内容から事実を確認する手法)によりこの関連性は否定されています。葉酸サプリメントの危険性は皆無であり、神経管閉鎖障害、胎盤早期剥離、流産、貧血の防止に有効なことは明白な事実です。ただし1日1000マイクログラム以上は内服しないよう注意してください。ただし、ハイリスク群の女性は例外です。
ページトップへ